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やっぱオザケンっていいよね!

 『さらば雑司ヶ谷』(樋口毅宏・著/新潮社)を読んだ。「死んだ目でダブルピース」というブログの書評で「面白そう」と評判になり、ネット上で話題が沸騰した(?)小説。ジャンルは一応、ハードボイルド、かな。
 

死んだ目でダブルピース
 

  何がそんなに話題になったのかというと、本書の中に出てくるオザケン論があまりに面白い、という点。中でも、「タモリがオザケンを絶賛した」というくだりにシビレてしまった人が多かったようだ。もちろん私もその一人。
 

むかし、いいともにオザケンが出たとき、タモリがこう言ったの。『俺、長年歌番組やってるけど、いいと思う歌詞は小沢くんだけなんだよね。あれ凄いよね、“左へカーブを曲がると光る海が見えてくる。僕は思う、この瞬間は続くと、いつまでも”って。俺、人生をあそこまで肯定できないもん』って。あのタモリが言ったんだよ。四半世紀、お昼の生放送の司会を務めて気が狂わないでいる人間が!

 
 ちなみにこれは作中、主人公の旧友たちが音楽談義をしているときの女性の発言。「死んだ目でダブルピース」でも触れられているように、物語には直接関係のないシーンである。
 
 
 で、先に引用したオザケン論。「あのタモリが褒めた」という事実によって、オザケンが何かとてつもなくすごいアーティストのような気がしてくる。私もオザケンは大好きだし今でも時々聞くけれど、一時期もてはやされたからこそ、大きな声で「やっぱオザケンっていいよね!」とは言いづらいような気恥ずかしさがあって、でもタモリが褒めるんだったらオザケンすごいって胸を張って言っていいような気さえする。やっぱオザケンっていいよね!
 

 ともかく、私はほとんどこの「オザケン論」のくだりのみに引きつけられるような形で『さらば雑司ヶ谷』を読んだのです。読みながら思ったのは、「読みづらい小説だなあ」「これ、ほんとに面白いのかなあ」ということでした。「でも後半に入ってから面白くなる小説もたくさんあるし」と自分を励まし励まし最後まで読みましたが、結局、最初の感想が変わることはないまま読み終えてしまった。

 
 小説だからリアルじゃないのは当たり前、という点をふまえた上でも、リアリティーに欠けるなあと感じる部分が多かったのです。それは別に雑司ヶ谷でギャングが暴れ回る設定に無理があるとかそういう話ではなくて、例えば人物描写が甘いように思う。「なるほど、この人がこういう行動をとるのも当然だ」あるいは「この人がこういう行動をとるなんて突飛すぎる!」という感想を持てるほど、それぞれの登場人物についての詳細情報がないのです。だから最後まで、話に乗りきれなかった。

 
 でもあの書評を読むとやっぱり『さらば雑司ヶ谷』はとても面白そうな本に思えるので、あれは「死んだ目でダブルピース」の中の人の文章がものすごく上手なんだなと思った。あと、タモリがすごいんだなと思った。

 
 そして、タモリは意外と自分が過去にオザケンを褒めたことなんて忘れてるんじゃないかという気もする。


      
さらば雑司ヶ谷

著者:樋口 毅宏

さらば雑司ヶ谷
 
 

 

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05: 日々の生活」カテゴリの記事

コメント

忘れてるでしょ、タモリは。それでこそ、タモさん!

「死んだ目でダブルピース」、拝読しました。
自分もこの本を読んでみたくなった。
数ある曲の中で『さよならなんて云えないよ』を選んでくれてありがとう。

"優しさだけが溢れてくる"とか"日なたで眠る猫"とか"静かに心は離れてゆく"とか、もう詞が全部良いと思う。

投稿: アッキー | 2010年3月23日 (火) 03時43分

やっぱ忘れてるよね〜タモさんは。
オザケンの詞って、一見軽いところも好き。

投稿: ayacco | 2010年3月24日 (水) 12時53分

ところでこの投稿、
『さらば雑司ヶ谷』を読んで損した、みたいに読めるかなあ。
まったくそんなことはなくて、
普段と違う小説に出会えてよかったですよ。
合わなかったっていうのは結果のお話。

投稿: ayacco | 2010年3月24日 (水) 12時54分

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