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小沢健二 ひふみよ 5/24中野サンプラザ

小沢健二のライブ(5/24中野サンプラザ)に行ってきた。

 

開場前、非常灯も消されて場内は文字どおりの真っ暗闇になった。真っ暗闇の中、BGMの音量が少しずつ大きくなる。そして、「と〜う〜きょ〜う〜!」と呼びかける低い声。小沢健二だ。
 

すぐさま『流星ビバップ』のイントロ。舞台は変わらず、真っ暗闇のまま。途中まで歌ったところで、ステージ中央の彼にだけ照明が当てられ、朗読が始まった。

 

2003年夏、ニューヨークに大停電が起こった時の様子を描いた短編。混乱の中、人々は家に帰れず困っている他人のために料理を作り、普段は蔑まれる存在のホームレスたちは街の情報を人々に伝えて大活躍する。テレビがつかないので、人々はラジオを聞き始める。暗闇の中、ラジオから流れる大衆音楽。暗闇の中、見知らぬ人々が席をともにし、音楽を共有する。

 

「暗闇の中で音楽を聴いた体験は、絶対に忘れない。」

 

その言葉の後、ライトが消え再び場内は闇に包まれて、『流星ビバップ』の続きが流れた。会場からは、たくさんのすすり泣く声が聞こえた。私もだらしなく泣いた。

 

『LIFE』収録曲を中心に、たくさんの曲を演奏してくれた。『天使たちのシーン』もやった。『ある光』も、少しだけ歌ってくれた。『カローラIIにのって』のときは背景にベトナムの街並みのような映像が流れて、曲もインド風のような、アラビア風のようなアレンジだった。
 
 
信じられないことに、小沢健二はすぐ目の前、10メートル先くらいの距離にいた。新曲をやっているときにふと、「ここからモノを投げたらオザケンに当たっちゃうんだ…」ということに気づいた。そしたら急に、もし今ここで自分の気が狂って、ポケットの中のiPhoneをオザケンに向かって投げつけてしまってライブが中断されて屈強な男たち(ガードマン)に連れ去られたらどうしよう、という恐ろしい妄想が頭をよぎった。そんなこと考える余裕あったのか。
 
 
小沢健二の歌声を一度も生で聞いたことがなかった私にしてみれば、彼はなんだか雲の上の存在のような、伝説の人のような存在だったんだけれど、実際にそのステージを目の当たりにしたら、彼が普段、見ている世界の空気を少しだけ感じられるような気がした。13年ものあいだ沈黙を守りながらも、彼は音楽を愛し続けていたんだと思った。そして、彼はありとあらゆる国や宗教の、ありとあらゆる「生」を肯定しているのだと実感した。 
 

アンコールの間奏の時だったか、彼は客席右側の方を指さして、誰かに合図を送るようなポーズをとっていた。その先に誰がいるのかその時はわからなかったんだけど、最後、ステージを降りるとき、涙ぐみながら彼が言った。

 

「泣いちゃうから言いたくなかったんだけど……岡崎京子が来てます」

 

客席からは「ええっ!?」という悲鳴にも似た声が上がって、直後、拍手が起こった。聞いた話によれば、岡崎さんはボーダーシャツにベレー帽といういでたちで、紹介を受けたとき、手足をバタバタさせてうれしそうにしていたという。

 

こんなすてきな瞬間に、本当に偶然にも居合わせることができたのは奇跡としか言いようがない。チケットを譲ってくれた方、ありがとう。オザケンありがとう。

 
 
 

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